当院概要

私は、開業獣医師の家に生まれましたので、常にそばに犬や猫がいました。寒い時期には、湯たんぽがわりに兄弟で猫の取り合いになったこともあります。この当時は私自身が子供で、家庭環境のことや動物に対する知識もなく、ただ動物をかわいがるだけでした。私が小学生になる頃には、自分の生活環境に動物の生死が関わることが理解出来るようになりました。

当時（昭和30年代）はまだ日本も発展途上にあり、初めて東海道新幹線が走り、東京オリンピックの開催、上皇陛下の御成婚など、経済成長真っただ中です。そのような状況ですから、まだまだ動物の診療に代価を支払う余裕が乏しく、それに伴い開業獣医師の生活も厳しいものでした。

小学校低学年の頃は動物のウイルスに対する予防薬（ワクチン）や特効薬もなく、治療の甲斐なくお別れしていく動物も多々いました。そんな時私は、父は獣医なのに何故この犬を治せないのだろう！？と父親を恨んだこともありました。そして、大人になったら獣医になってかわいそうな動物たちを治してあげたい！と思っていました。

入院している犬や猫の食事やトイレの世話をし、手術の雑用などの手伝いもして一生懸命動物の世話をしました。生活は苦しく貧乏獣医家庭でしたが、獣医という仕事にやりがいがあり、毎日が動物と共にいる楽しみもありました。７人兄弟という多産系の貧乏家族でしたが、笑いの絶えない家庭で近所からも羨ましがられる程でした。兎に角、家族が一番であり誇りでもありました。

今年より元号が平成から令和に代わり、来年は2回目の東京オリンピックを迎えようとしています。私も開業獣医師として47年目になります。この度、HPの改定をする機会をえました。令和元年と新たな元号となり、HPを一新し皆様によりわかりやすく、気どらず、親しみやすい表現にすることを目指していきます。また、スタッフもベテランになり、動物たちとの接し方もさらに充実し、動物たちに寄り添い、飼主様たちにも信頼を戴けるようにさらなる努力をして参ります。

犬・猫の飼育頭数も昨今では犬より猫が上回りつつあります。また、良質なペットフードが普及し、獣医医療も向上し、動物たちの生活環境もより良くなっております。人間の平均寿命が80歳以上になり、女性は100歳にも近づくような勢いです。動物の世界でも同じく、平均寿命はかなり延びつつあり、それと共に生活の質の向上や健康寿命がしきりに叫ばれるようになりました。そのような環境の中で、いかに人と動物が共存し、どのように生きて行くかも課題になっております。

動物たちが家族の一員として少しでも永く、そして快適な生活が送れるようにお手伝いしたいと考えています。

令和元年六月吉日